乾坤一の書と村田の町
成沢家 母方三百年の記録

乾坤の譜

け ん こ ん の ふ
蔵の町から、月の裏まで。
乾は天、坤は地。
――天と地をひとつに。初代宮城県知事が、村田の酒に与えた名。

これは、宮城県村田町で三百年あまり酒を醸してきた蔵「乾坤一」に発し、仙台城下の呉服商、フランスの天文学書を訳した学者、月のクレーターに名を残した天文学者、シベリアから生還した地質学者、そして海を渡った教育者へと続く、ひとつの家族の系譜の記録です。大沼・池上・平山・成沢――四つの家の三百年を、一冊の冊子とオリジナル資料にまとめました。

大沼本家(乾坤一) 大沼十右衛門 十太郎 ― チセ(平山清次の妹) 徳子 池上茂雄 光子(母) 成沢義雄(父) 文雄・拓也・恵

冊子『乾坤の譜』THE BOOKLET

序章から資料編まで全24ページ。母方の本流――村田の大沼本家「乾坤一」から、母・光子まで――を一本の道として辿ります。ゆかりの地(村田・芭蕉の辻・野蒜・富山)、星をめぐる縁(十太郎とチセ・平山清次)、玄能石を究めた祖父・池上茂雄と晩年の北広島の家、一族の群像(図南社・丸菱倉庫・『大地の子』ゆかり)、家系図二葉、地図、年表。写真は出典を明記しています。

※本冊子は母方三百年の記録です。父方(成沢家)の物語は下段の『北方の譜』に、現代の家族の記録は別冊『家族のいま』にまとめています。

父方の譜『北方の譜』 ―― 成沢城の侍THE FATHER'S LINE

母方の三百年に、父方の物語が合流します。父・成沢義雄の家系は、出羽国・いまの山形市南に築かれた山城成沢城にさかのぼると伝わります。最上氏の一族が一三八三年に築き、地名(もとは大雨に沢が鳴る「鳴沢」)を名字とした成沢氏。その末に、伝説の武将・成沢道忠。一六二二年の最上改易で城を失った一族は、庄内・鶴岡大山の地に移り、「百姓兼田舎侍」として生きたと伝わります。幕末の成澤勘左エ門から、雪深い札幌・苗穂に生まれた八人きょうだいの七男・義雄まで――その長い道のりを、別冊『北方の譜』にまとめました。

成沢城跡(春)
成沢城跡(山形市)桜咲く春の城跡。最上領南の守りの要だった山城。
成沢城の絵図
成沢城の絵図曲輪と堀をめぐらせた山城の姿。(出典:My favorite things about Yamagata)
※父方は取材継続中です。判読・接続の未確定事項は冊子内で「要確認」と明記しています。成沢城の写真・絵図は My favorite things about Yamagata(山形の城跡紹介サイト)ほかより、出典明示のうえ掲載しています。

この家に流れるものTHREADS OF THE FAMILY

天 ― 星の縁大沼十太郎はフランスの天文学者フラマリオンの著『死とその神秘』を訳し、妻チセの兄・平山清次は月の裏のクレーター「ヒラヤマ」に名を残した天文学者。
地 ― 酒と石と塔村田で三百年続く銘酒「乾坤一」。富山で神輿・五重塔を組んだ宮大工・池上長茂。シベリアから生還し玄能石を究めた地質学者・池上茂雄(享年百二)。
学問の家系早稲田の教授、東京大学卒の兄弟、理学博士に人文学博士――代々、博士と学者が絶えない。父母はともに英語の教師。
時代に立つ日露戦争の旗手・大沼直輔、満州特務機関長・正輔、グァム島に散った池上浩吉。『大地の子』の「柿田潔」のモデルとされる大柿諒。丸菱倉庫を興した坂本勝。

ゆかりの地PLACES

村田の町並み
村田(宮城)蔵の町・みちのく小京都。大沼本家と「乾坤一」。
紅花
紅花の道蔵王を越えて京へ。村田を潤した紅花交易。
芭蕉の辻
芭蕉の辻(仙台)大沼十右衛門が呉服商を営んだ城下の目抜き。
野蒜築港跡
野蒜築港十右衛門が晩年に賭けた「幻の港」。
瑞龍寺
富山・北陸の宮大工長茂が生きた塔と伽藍の技(国宝・瑞龍寺)。
月の裏
月の裏側クレーター「ヒラヤマ」――平山清次の名。

動画 ―― 茶子が来た日A HOME MOVIE, 2014

二〇一四年十月、家族に柴犬の茶子が加わった日の記録。(WEB版だけの収録。家蔵の家庭内動画)